2008年3月21日金曜日

溶ける街透ける路/多和田 葉子



うん、気持ちの良い旅行エッセイでした。
なんというか嫌味がない。詩人らしい繊細な単語選びのせいなのかも?

とくに海外旅行願望が高い今のような時期には楽しい。
さいきんお気に入りのテレビ番組である
「NHKの世界ふれあい街歩き」
http://www.nhk.or.jp/sekaimachi/
と似ているタッチ。

あくまで自分自身の経験目線で、余計な観光情報は入らない。
むしろ生活者の目線に近い中でのちょこっと異邦人感覚での記述は、おいらがあこがれる海外旅行そのものである。素敵。ドイツ在住ならではなのだろうなぁ。
記述の中心はタイトルにかかわらず、街そのものではなく、街に生きる人たちとの交流で、街が語られるのは筆者の主観と各街々の生活者からの情報。

ナント訪問時の「ナントの勅令ってなんだっけ?」というやり取りは記憶に深く残る。
飾り気がないやりとりを素直に記述しているように見える文章で、心地よい。

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