2008年2月2日土曜日

働きやすい会社=働けてしまう会社?

いろんな意味で考えさせられるニュースである。
日本HPといえば、比較的、労働環境は恵まれていると評価されている。実態はともかく。
そういう客観的なデータはある(昨年2位→今年8位だけど)。
日経なび「働きやすい会社調査」ランキング

という会社でもやっぱりこういう問題は起こるのね。
となると、会社の問題なのか、本人が働きやすいから好きなだけ働いて壊れた、ということになるのではないかと思うけど、それを止めなかった会社が悪いってことになるんだよね。いやはや。まぁ、そういうもんではあるけど。
HPway的には働いちゃうわね、きっと。そういう文化の会社だから。だから、働き抜いて折れちゃう。

この手の問題は難しいですね。
労災認定されるほど働いたという実績はきっとあることでしょう。
で、会社からしてみれば、とめなきゃいけない義務はあるんだけど、それだけ働かせてたってことは、そういうシチュエーションだったってことだとは思うのですわね。
で、文句も言わずに働いてくれる、のであれば、会社もすがりたい気持ちだったのではないかと。
そのときに、そのマネージャに、彼が危ないから止めなさいというのは、比較的傍目目的な無責任さ発言となる恐れが高い。それはそれで現実がそこにある。
労働法制屋さんが何を言おうと。プロジェクトとはいかんともしがたい、そういう局面がある。
人を壊してよいと擁護しているわけではないけれど、避けられない現実を無視して理想を語るのは理論家の仕事であって実務屋の仕事ではない。

いっぽうで、働きやすい会社と評価される会社にあって、こういう問題が論理的に起こりえるという現実。

法整備としては、時間とかではなく、そこを止揚する仕掛けがほしいところである。

で、余談としては、プログラマにプロジェクトマネージャをさせるってことが最大の問題なんじゃないかと思い、それがために労使ともに疲弊する結果を招いているのであれば、明らかにアサインメントのミスなので、会社が悪者になるに決まっている。

できないことをやらせる、という場合に、放置したのであれば、それは会社の責任。
本件がそこをついているものであるならば、働きやすい会社であれ、猛省を求めざるを得ないね。

退職半年後の自殺、労災認定=「過重業務でうつ病」―労働保険審査会
http://www.jil.go.jp/kokunai/mm/gyousei/20080201b.htm
日本ヒューレット・パッカード(東京都)のプログラマーで、退職半年後に自殺した東京都武蔵野市の男性=当時(31)=の父親(67)=兵庫県在住=が労災認定を求めた行政不服審査請求で、労働保険審査会は 31日までに、過重労働が原因で発症したうつ病による自殺と認める決定をした。父親の代理人は、半年以上経過していたにもかかわらず業務が原因と認められたのは画期的だと評価している。
裁決によると、男性は 1998年7月、社内でプロジェクトのマネジャーに就任。同 12月にうつ病と診断され、休職と復職を繰り返すようになった。同9月から 11月の時間外労働は月 118 ~ 164時間に及び、男性は 2001年 12月に希望退職。 02年7月に自殺した。
同審査会は「マネジャー就任後の業務は相当過重で、業務による心理的負荷は精神障害を発病させる危険のある強度のものだった」と指摘。 98年 10月に発症したうつ病が自殺につながったと認定した。
男性の自殺をめぐっては、新宿労働基準監督署が 03年6月、業務起因性を否定し遺族補償給付などの不支給を決定。父親が行政不服審査請求をしたが、東京労働者災害補償保険審査官も 06年1月に棄却した。
代理人の尾林芳匡弁護士は「退職後、時間が相当経過しているにもかかわらず業務と自殺の因果関係を認めたことで、今後、救済範囲がかなり拡大するのではないか」と話している。
(時事通信) 1月 31日

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