2007年10月29日月曜日

北朝鮮レストラン





なんだか、眉唾な話かなぁと感じながら。
中国にいる日本人駐在員といえば、
夜は、お持ち帰りお買い物ツアーと思うので、

それは上海小姐とよろしく済ませておいて、

こちらはほんとに心を癒されにくる?


ふーん、そんなこともあるかしらん、と思いつつ、

コミュニティ誌に堂々と風俗情報が出てたりするし、

なかなか判断は難しいところですけどね(笑)



でも、「上海の夜」に「癒される」となると、

笑顔だけじゃない世界がある気がしてならないなぁ。



一方で、中国本土はオリンピックを目指して、

かなり売買春の締付けが始まったとの報告情報が

大連エリアや北京エリアから齎されているので、

それはやはり健全というのは事実なのかしらん、

とも思うけど、金のにおいに敏感な「偉大なる指導者」様が

これほどに簡単な外貨獲得取得手段を見逃すはずがない、

とも思うので、「日本円でもOK」とまで言いそうな気がするんですけどね。




一方、利用者として考えると、持ち帰りは不安よね。

となると、やっぱり、そういうことはないのかな。


うーん、あちこちに進出しているみたいだしなぁ。

やっぱり健全なのかなぁ、、だとしたら

そんなには長持ちしない気がするなぁ。



要観察+要経験でありますな。

誰かのレポートを探してみよう!

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上海の夜、北朝鮮の女性従業員に癒やされる
2007年10月22日 中村正人

いま、公式には5万人強、実際にはその倍以上の日本人が上海に在留している。今年9月末より羽田とのシャトル便運航も始まり、日系企業の出張先として最重要拠点となったこの街。消費の現場としての上海を、まずは在留邦人の目で巡ってみよう。
世界中どこでもそうだが、日系企業が進出する都市の一角には日本語を話すホステスのいるクラブができる。ご多分に漏れず、上海にも多数の日本人クラブがある。新宿ネオン街で鳴らした帰国組の上海人らが経営するその世界はなかなか面白いのだが、ここではもうひとひねり、一風変わった夜の世界をご案内しよう。
「北朝鮮レストラン」というのがあるのをご存じだろうか。

「喜び組」的、音楽と踊りと接待サービス付き
これは、北朝鮮人が国外で経営している飲食店のこと。一般には北朝鮮国境に近い中国東北地方に多く出店していることで知られる。中国国内に100軒を超える店があり、上海にも7軒ある(2007年8月現在)。最近では東南アジア諸国や好況に沸く極東ロシアなどにも進出中だ。
北朝鮮レストランの特徴は3つ。まず北朝鮮料理が味わえること。次に、「喜び組」を輩出した芸能学校出身者を含む北朝鮮の女性従業員がいるらしいこと。彼女らは接待係であると同時にバンドメンバーで、食事をしながら北朝鮮仕込みの歌謡ショーが見られることもウリだ。
2002年の北朝鮮の経済改革を機に急増したが、すぐに経営不振で大半が撤退した。その後、再び出店攻勢をかけている。目的はもちろん外貨の獲得だ。中国企業との合弁で、北朝鮮側が女性従業員を派遣し、中国側が資金や店舗を提供するパターンが一般的。同胞である韓国人観光客に人気があると言われる。
ところが、在留邦人の多い上海では若干事情が異なり、日本人に人気の店があるという。

小耳に挟んだ情報を手繰り寄せてみると、場所は在留邦人も多く住む古北地区。店名は「平壌妙香館」。2006年10月にオープンしたとのこと。
取材の合間を縫って、ちょいと一杯飲みに出かけた。お目当ての店は、日本語のネオンが並ぶ雑居ビルの中にあった。
入店すると、「オソオセヨ(いらっしゃいませ)」という抑揚の利いた歓迎の挨拶が耳に飛びこんできた。チマチョゴリに身を包んだウエイトレスが数人いて、つつましやかな微笑とともに席に案内される。

なんだか健全、料理は「ビミョー」?
店内は妙に明るい。近隣のうらぶれたクラブでは、ドレス姿のホステスが酔客の腕にしがみつき、客引きする光景も見られるが、ここは不自然なほど健全だ。店の広さに比べ、ウエイトレスの数が多すぎる気もするけれど、レストランというより食堂風で、華美なところがない。それらしいのはステージ脇のテレビで時代離れした北朝鮮ドラマを放映していることくらいか。
席に着くと、ウエイトレスが注文を取りに来た。メニューは中国語とハングル、日本語、英語の4カ国表記。平壌キムチに平壌冷麺と、必ず頭に「平壌」を付けた北朝鮮料理を揃えている。ひとまず生ビール。料理は1品20~70元(300~1000円)、2~3品料理を頼んで2000~3000円。市内の中級クラスの中華レストランと変わらない。
ウエイトレスからあれこれ勧められたが、ユッケとチジミとキムチの盛り合わせという定番料理を注文してみた。味は、う~ん。東京の韓国家庭料理店の洗練さはなく、素材も盛りつけも単なる田舎料理といった印象。唯一ここでしか味わえないのは平壌焼酎とのこと。
しばらくすると、さっきまでウエイトレスだった女の子たちが派手なピンクのチマチョゴリに着替え、さっとステージに上がった。
コミックバンドみたいなドラムを刻む合図で、いきなり演奏は始まった。
ベースとキーボード、ドラムに歌手が2人の5人組。単純なアレンジだが、思いがけず浮かれた曲調に正直、ズッコケた。昭和歌謡のような歌声と手の込んだ振り付けが、ひと昔前のアイドルグループのよう。ところが、真剣な眼差しと生真面目すぎる演奏スタイルが続くせいか、だんだんいたいけなガールズロックバンドみたいにも見えてくる。日本で繰り返し刷り込まれた北朝鮮の軍事パレードやマスゲームの硬直した映像とは大違いだ。イメージギャップにクラクラしてくる。許可を得て録画してきたので、ご一見いただきたい。
曲はテレビで見たことがあった。「パンガブスムニダ(お会いできてうれしいです)」という、平壌を訪問した在日同胞を迎えるときの歌だそうだ。場所が変わるとこうも違うのか、そこに哀愁は感じられない。それでも、ステージの大団円で彼女たちが「パンガブスムニダ~」と声を張り上げ、手を大きく振ってみせた一瞬、密室で演じられた内緒の儀式のような濃ゆい場末感があたりにたちこめ、なぜかボー然としてしまった。
※事情通によると、北朝鮮の歌謡曲はソ連時代のポップスの影響下にあったようだ。彼女たちの演奏も、どことなく耳慣れない旧共産圏風。それがかえって新鮮に聴こえるから妙なものだ。
この店はオーナーと店長が2人で運営している。オーナーは吉林省の延辺朝鮮族自治州出身の朝鮮系中国人女性、店長は北朝鮮から派遣された従業員を管理する北朝鮮人男性だ。店長とは仮の役職名のようで、韓国人の客と一緒に酒を飲んでばかりいる。実質の仕事はオーナーが仕切っている。
いかにも軍人上がりといった風情の店長から話を聞いてみた。ずいぶん酒が入っていて、ご機嫌である。

客の2人にひとりは日本人?
―― 商売はどうですか。お客はどこの国の人が多いですか。
「上々ですよ。いちばん多いのは韓国人、次が中国人で、日本人は3番目。日本人の割合は3割くらいですかね」
―― 韓国のお客さんは何を求めて来られるのでしょうか。
「そりゃ同胞との触れ合いですよ。うちは料理が売り。北朝鮮料理は珍しいでしょう」
―― 日本人も来るようですね。日本人に人気の理由は?
「それはよくわからない。いま研究中ですよ」
 日本人が多いことはあまり触れられたくない話題なのか、一瞬不満げな表情を見せた。が、商売はうまくいっているのだろう。すぐに赤ら顔をくしゃくしゃにして笑うのだった。
 次にオーナーに話を聞いた。彼女には日本留学経験があった。会話は新宿・大久保界隈でよく耳にする半島なまりの日本語である。
―― 店長から日本人客は3割くらいだと聞きましたが、現地在住の方でしょうか。
「いえいえ、いまじゃ日本人の割合は70%ですよ。日本のお客さんは上海在住の駐在員がほとんど。だから、私はいま彼女たちに日本の歌を教えているんですよ」
3割と70%。ずいぶん開きがある。留学の縁もあってか、日本人客取り込みに熱心な彼女だけに、その言い分も少し割り引いたあたりが実際のところかもしれない。それでも、2人の数字の間を取ったとして、半数は日本人が占めているということになる。
―― 日本人にこの店が人気の理由は何だと思いますか。
「日本の駐在員さんは中国の慣れない生活でストレスがたまるでしょう。でもね、それは北朝鮮から来た彼女たちも同じです。上海のような大都会で働く彼女たちはストレスがいっぱいです。それを歌や踊りで吹き飛ばしているんですよ。きっと日本のお客さんもその気持ちがわかるからじゃないでしょうか」
うまいこと言うものである。将軍様の指令とはいえ、北朝鮮という清貧の世界から、いきなり上海のような物質的繁栄と金まみれの世界に連れてこられたら、彼女たちも大いに戸惑うことだろう。ちょっと泣かせる話ではないか。
接待係さんに直接話を聞いてみた
この店の女性従業員は10人。年齢は19~21歳だ。3年たつと、北朝鮮に帰国するのが条件。数年前、脱北者が急増した頃、北朝鮮レストランに勤める一部の従業員が逃亡したが、最近は少ないという。それを監視しているのが、先の店長というわけだ。
ひとりの接待係がぼくのテーブルにずっとついてくれたので、じかに話を聞くことができた。彼女はベース担当。ちなみに会話は中国語だ。
―― 仕事は何時から始まるの? 1日のスケジュールは。
「朝9時出勤、11時のオープンまでは店の掃除をしたり、演奏の練習をしたり。閉店は10時です。片づけが済んだらみんなで寮に帰ります」 
―― お休みはないの?
「お休みは週1日。10人のうち出勤は7人。それでローテーションしているんです」
―― お休みの日はどうしてるの? 上海の暮らしは慣れましたか。
「ええ、買い物に行くとか。だいぶ慣れたけど」
―― 面白い?
「どうかな」
バンドメンバーの中では、好奇心旺盛な世話役タイプといった彼女だが、話していると、自分は決して上海の夜の街には染まらない、そんな意地や気丈さを感じる。テーブルの隣に立ったまま、平壌焼酎のグラスが空くと注いではくれても、隣に座ったりはしない。
―― ご両親は元気? 出身は?
「元気です。平壌から来ました」
―― ご両親のお仕事は?
「父は工場長をしています。母は新聞記者です」
北朝鮮では恵まれた階層の子弟なのだろう。平壌の大学に通う弟がいて4人家族だという。後で聞いたが、従業員は全員平壌出身だった。
―― さびしくなることはないの?
「大丈夫。そんなときは家族に手紙を書くの」
―― メールを送ったりはしない?
「いいえ、私は手紙を書くわ」

健気さに癒やされる
彼女の日常がどこまで管理されているのか想像つかないが、監視役のいる不自由な生活をずっと送ってきたのだろう。メールの話に少し反発を覚えたのか、彼女はこう言い切った。
「自分の気持ちを伝えるには手紙がいちばんよ」
そのとき、ぼくは自分が生まれて初めて北朝鮮の人間と2人きりで話をしていることに気がついた。この子は本当に自分と同じ時代を生きているのだろうか……。不思議な気がした。そして、正直なところ、ちょっとグッときてしまったのである。

きっと日本の駐在員の皆さんの中にも、これに似た経験をしておられる方がいるのではないだろうか。この店は現地で発行されている日本語フリーペーパーに広告を出している。そこには、「上海日本人コミュニティで話題沸騰中!」とある。
ネット上でも北朝鮮レストラン関連のブログやホームページが拾える。世界中の北朝鮮レストランを訪ね歩き、情報収集している日本人のサイトもある。海外旅行ガイドブック『地球の歩き方 中国東北編』の編集者である友人も北朝鮮レストランのファンだ。その魅力を彼は熱く語る。
「彼女たちは自分の意志で外国に来ているわけではない。国のため、あるいは将軍様のためにと思っているのでしょう。それはたぶん、戦前の日本のように、幼くして女中奉公に出されても親兄弟のためだと思うような健気な心に通じるところがあると思うんです。そこにいまの日本人が失ってしまった清純さを感じてしまうのですよ」

想像を絶する暗黒世界からつかの間の逃避行のように未来都市・上海にやって来て、夜ごと歌い踊るアイドルたち。そんなSFアニメみたいな設定が、いわゆるマニア受けするわけだ。
いまや上海在留邦人のひそかな癒やしの場にもなっているという北朝鮮レストラン。政治的な思惑も経済の裏事情も清濁併せて丸ごと呑み込んでしまう、いまの中国ならではのディープな不思議スポットと言えるかもしれない。
彼女たちの歌声を聴きたければ、夜は少し早め、7時前には入店したほうがいいようだ。
(文/中村正人)
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