2007年12月7日金曜日

"5" 佐藤正午




うまい構成で素敵な日本語でよくできている小説。
だけど恋愛小説としては、どうなんだろう?
分野的にはまったく強くない領域なので云々しづらいですが。個人的には感情移入しきれずに終わった気分で、恋愛小説ってそう言うものだといわれればそうなんですが、やや不発。
たんに年をとって、いろんな表象恋愛ものに触れすぎてしまって感性が磨耗しているのかもしれませんが、とにかく、読ませる技術と構成のうまさといつでも出入りできる自由さが担保されていて、日本語の使い手としての作者の能力には感動ものでした。が、コンテンツとしてはいまいち。
こういうものは人に勧めるのが難しいですね。
文体や文章の巧拙は気にしないけど、どっぷり泣きたいような人には、どうでしょう?
でも、おとなの小説なので、若いころ読んでもこんなに揺り動かされなかっただろうなぁ。
とおもうと、30代なひとたちはぜひお読みなされ、ってところでしょうか。
テーマとしては、ネタバレになるので難しいところですが、西澤保彦神麻さんが好きな方は挑戦してみて比較するのも一興です。

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