2009年1月16日金曜日

[RIETIディスカッションペーパ]「ソフトウェア産業の重層的下請構造:イノベーションと生産性に関する実証分析

直感的にそうだよね、と思うことを数字で実証してもらえるととってもうれしくなりますね。
ただ、ソフトウェア企業の分類について、「独立型」の位置づけは微妙かな、と。
整理分類しないと分析もできないのでやむをえないと思うが、量的な変数のみで
語りきるのはやはり無理なんだなと。
この研究成果を理論的仮説と設定したうえで、質的な実証研究が実施されると
この分類整理の正当性が強まるのかもしれない。
その場合においても、バリューチェーンの上下については正確にいけそうだが、
「独立型」という定義については、なおいっそう難しくなるものと思われる。
ソフトウェア企業で、本当に独立型である会社はほとんどない。
結局、上下に誰かがいる。それはMicrosoftやOracleにしたって同じである。
一気通貫で自社から出さない会社ってのはほとんどないんじゃないかしらん。
この分析にOffshoreを巻き込んでみるのも面白いかもしれませんね。
全体的な仮説と結語については非常に有用であると思う。
学問的な有用性はおいらには判定不能なので。

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「ソフトウェア産業の重層的下請構造:イノベーションと生産性に関する
実証分析」(峰滝 和典 (関西大学ソシオネットワーク戦略研究機講)、
元橋 一之 (ファカルティフェロー))
http://www.rieti.go.jp/jp/publications/summary/09010001.html?id=nl

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本稿においては、企業活動基本調査と特定サービス産業実態調査の接続データを用いて日本のソフトウェア産業の生産性に関する分析を行った。ソフトウェア企業を同業者との間の受発注に関するデータを用いて、「独立型」、「元請型」、「中間下請型」、「最終下請型」の4つのタイプに分類して、全要素生産性の比較を行った。その結果、「独立型」ソフトウェア企業の生産性は、他のタイプ、すなわち、元請→中間下請→最終下請と重層的なソフトウェア産業を構成する企業よりも高いことが分かった。また、パテントやR&Dで見たイノベーション活動や従業員に占めるSE比率やプログラマー比率などの人材の質に関するファクターが生産性に与える影響についても分析を行った。その結果、イノベーション活動については特に元請型企業において、人材の質については独立型企業において、生産性の決定要因として重要であることが分かった。

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