2009年3月14日土曜日

「緊急避難型ワークシェアリング」のメリット

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◆「緊急避難型ワークシェアリング」は消費減少を抑制/第一生命経済研

 第一生命経済研究所は19日、レポート「緊急避難型ワークシェアリング(WS)の
 経済効果」を公表した。労働コストを10%削減するケースを考えた場合、
 賃金を全体で10%カットし雇用を維持する「緊急避難型WS」と、
 雇用者数を10%減らし賃金を維持するケースを比較すると、
 前者は後者より消費支出の減少を約4.3%抑制すると試算している。
http://group.dai-ichi-life.co.jp/dlri/rashinban/pdf/et08_259.pdf
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Economic Trends マクロ経済分析レポート
緊急避難型ワークシェアリングの経済効果
~消費の減少を抑制する効果が期待される~
第一生命経済研究所 経済調査部
担当 副主任エコノミスト 有馬 めい
TEL:03-5221-4573
(要旨)
家計最終消費支出を被説明変数、賃金、雇用者数などを説明変数とした消費関数の回帰分析を行った結果、賃金(0.18)よりも雇用者数(0.61)の係数が大きいことがわかった。係数の結果をもとに最も単純な例として、労働コストが全体で10%削減される場合における緊急避難型ワークシェアリングの経済効果を考えると、一時的に雇用が維持されることより消費支出の減少が約4.3%抑制される結果になる。このことから、不況下における緊急避難型ワークシェアリングは消費の減少を抑制する働きをもつものと期待される。また、2009 年度においては労働コストが約3.7%(実質対前年比、当社予測)減少すると見込まれるが、緊急避難型ワークシェアリングによって(賃金カットにより雇用が完全に維持された場合)、最大で約1.0%消費の減少が抑制されると考えられる。

また、消費の形態別に同様の回帰分析を行った結果、耐久財と半耐久財の回帰結果において賃金の係数がプラスとなった。このことから、緊急避難型ワークシェアリングで賃金が大幅に低下した場合、
これらの財の消費が落ち込むことが懸念される。したがって、今後緊急避難型ワークシェアリングが広まる場合、耐久財や半耐久財を重点とした消費支援策の必要性が増すと予想される。

本稿では、日本全体で緊急避難型ワークシェアリングが一斉に行われ、且つその他の要素は消費に影響を与えないという単純化された前提のもと、緊急避難型ワークシェアリングは消費の減少を抑制する効果を持つ可能性が高いという示唆を得た。しかし、政策的に緊急避難型ワークシェアリングが推
進される場合は、如何にして賃金削減を行うかについてさまざまな議論を経る必要があるだろう。また、耐久財及び半耐久財消費の落ち込みが懸念される結果となったが、こうした実体経済への影響や波及効果についても更なる分析を要する。したがって、本レポートは緊急避難型ワークシェアリングに期待される経済効果のみをもって、これを政策的に推進すべきとするものではない。

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