2009年3月29日日曜日

韓国もなかなか悲惨そうで。。

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経済危機に対して、労使民政が協調体制へ
—オランダ型「ワークシェアリング」の導入に向けた合意—

  韓国政府は従来の労使政に市民団体の代表を加えた「労使民政・非常経済
  対策会議」を設置し、追加の緊急経済対策を検討していた。
  同会議は2月23日、オランダのワッセナー合意をモデルとした賃金抑制による
  雇用創出に合意したと発表。
  しかし、左派の民主労総(KCTU)が同会議から離脱したため、この合意の先行き
  には懸念材料も少なくない。
http://www.jil.go.jp/foreign/jihou/2009_3/korea_01.htm
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オランダのワークシェアリング

  1. オランダ病に至る背景(外部要因)
    オランダは1960年代、北海で天然ガスを産出し、その輸出を拡大していった。1970年代半ばの第一次石油危機(オイルショック)後、石油をはじめとしたエネルギー価格が高騰していった。それに伴い、天然ガスは売却収入の増大が起こった。オランダは、この収入を原資に高レベルの社会福祉制度を構築した。しかし、この天然ガスの輸出拡大によって、その当時のオランダ通貨であるギルダー(guilder)の為替レートが上昇し、製品輸出が圧迫、労働者の賃金が持続的に高騰した。企業収益は圧迫され、競争力も低下し、経済は悪化していった。
  2. オランダ病に至る背景(内的要因・・・経済政策の失敗)
    この経済悪化に伴い、経済成長下で増大させた社会保障負担がオランダ経済を圧迫させた。それは、社会保障を受けるパートタイマーが、1970年には生産年齢人口の8%であったが、1983年には18.5%に増加した。社会保障支出額も対GDP比で45%から66%にまで上昇し、財政赤字が急増した。
  3. 景気の悪循環を招いたオランダ病
    1973年の第一次石油危機(オイルショック)を発端とし、景気の悪循環が約10年続く事になる。
    エネルギー高騰⇒政府歳入の増加⇒為替の上昇⇒労働者の賃金高騰⇒企業の収益悪化⇒社会保障費負担の増加⇒国際競争力の低下⇒失業率の増加⇒社会保障給付額の増加⇒財政赤字の膨張
  4. オランダ病とは
    輸出の低迷は、GDPのマイナス成長を招く結果となった。81年、82年と連続してマイナス成長となり、財政赤字はGDP比で80年の4.2%から、82年には6.6%になった。そして、この経済の悪化は、失業率の大幅悪化につながった。80年には4.0%だった失業率が、83年には11.0%になった。このような経済的危機状況をオランダ病と呼ぶ。
  5. オランダの挑戦 - ワッセナー合意
    高失業率に悩んだオランダは、1982年に政労使(オランダ政府、経営者連盟、労働組合連合)の三者間で「ワッセナー合意」を結ぶことになる。ワッセナー合意の要点は3点である。
    • 労働組合は賃金抑制に協力する。
    • 経営者は労働時間短縮と雇用確保に努める。
    • 政府は財政赤字の削減と減税、賃金交渉への不介入。国際競争力を高めるための企業投資を活発化し、雇用の増加を達成する。
    というものであった。
  6. 財政改革 - ワッセナー合意以降
    ワッセナー合意以降、オランダ政府は継続的に改革を行っていく。財政改革では、社会保障の最低給付水準の凍結など、社会保障関連の支出を削減させた。公務員に対しては、給与の抑制と人員抑制を行った。
  7. 社会保障制度改革 – ワッセナー合意以降
    若年層に対する失業保険の給付期間短縮、給付水準の引き下げ(80%から70%へ)と審査の厳格化を行った。 障害者保険も給付水準を最終賃金の100%から70%へ引き下げ、受給資格を厳格化させた。1998年からは企業負担とした。 病欠手当てについても、給付水準の引き下げ(80%から70%へ)を行った。1996年からは企業負担とした。 これらの負担の変化により、労働意欲を高めることになった。
  8. 労働市場改革 – ワッセナー合意以降
    ワッセナー合意以前、賃金は物価スライド制であった。合意以降は、このスライド制を廃止し、賃金上昇の抑制を行った。また、パートタイム労働の拡大によるワークシェアリングの促進を図った。それまでは、パートタイム勤務の社員が冷遇されていたが、パートタイム勤務の社員が待遇面で受けていた様々な差別を禁止した。これがオランダ・モデルと呼ばれるようになった。
    オランダ・モデルとは、
    • 同一労働価値であれば、パートタイム労働者とフルタイム労働者との時間あたりの賃金は同じにする。
    • 社会保険、育児・介護休暇等も同じ条件で付与される。
    • フルタイム労働とパートタイム労働の転換は労働者の請求によって自由に変えられる。
    という制度になった。この結果、夫婦で自由な勤務形態の組み合わせが可能となり、雇用が促進されたという。

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